契約については、契約(合意)と契約書に関する誤解について書きましたが、もう一つ分かっておいてほしいことがあります。
契約の「締結」(契約の成立)と、契約の「履行」についてです。
契約の「締結」(契約が成立した)とは、権利義務の内容について合意することです。
一方、契約の「履行」とは、合意した義務を果たすことです。
時計の売買契約を例に考えてみます。
2015年5月15日、
AとBは次のような約束をした。
A「この腕時計、10万円で売るよ。」
B「よし、その腕時計やったら、10万円でも高くない! 10万円で買うよ。」
ここで、「売買契約」は、成立しています。
A「じゃあ、腕時計は5月31日に渡すよ。」
B「分かった。でも、お金の準備にちょっと時間ほしいから、支払いは6月30日までということにしてな。」
A「エエよ。」
で、Aが5月31日に腕時計を引き渡すこと、Bが6月30日までに代金10万円を支払うことを、契約の「履行」と言います。
特に難しいことではなさそうですが…
次のような場合、どうなるのでしょう?
1.Aが6月になっても時計を引き渡してくれない
2.Aが6月になっても時計を引き渡してくれないので、Bが、Aに「引渡せ!」と請求したところ、Aは「そんな請求したっけ?」と言ってきた
3.Aが6月になっても時計を引き渡してくれないので、Bが、Aに「引渡せ!」と請求したところ、Aは「あぁ、あの腕時計、Cが15万円で買うって言うから、Cに売ってしまったわ」と言ってきた
4.Aは、5月31日に時計を引き渡してくれたが、実は故障して動かないものだった
5.Aは、5月31日に時計を引き渡し、6月30日にBに対して10万円の支払いを請求したが、「え? 腕時計? そんなん受け取ってないよ」と言われた
6.Bから支払われた金額は、10万円ちょうどだった → A「え? 消費税分は?」 B「は?」
なんか、大学の民法の授業みたいになってきた…
じゃ、おまけで、
(問)上記のケースの場合、腕時計の「所有権」が移転するのはいつでしょう?
イ.売買契約が成立した、2015年5月15日
ロ.Aが腕時計を引き渡した、2015年5月31日
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